「泣いた赤鬼」の青鬼について
節分が近いですね。鬼といえば「泣いた赤鬼」。今日は、この物語について考えてみます。まずはあらすじを。
昔、村人と仲良くしたい赤鬼がいた。しかし村人は、赤鬼が恐くて近づかない。
見かねた青鬼がやってきて言った。「赤鬼君、僕がわざと村人をイジメるから、そのとき、君は僕をやっつけて。そうしたら村人は君に感謝して、きっと仲良くなれるよ」。
計画は実行され、成功した。村人は赤鬼に感謝した。赤鬼は村人の仲間になれた。
しばらして、赤鬼は青鬼の家を訪ねた。青鬼はもう家にいなかった。戸にこんな手紙が貼ってあった。
「赤鬼君。僕らが友だちだと村人が知ったら、計画が台無しになってしまう。だから僕は旅に出るよ。君は村人と仲良く暮らしてください」。
手紙を読んだ赤鬼は、オイオイと泣いた。
青鬼の生き方は素敵です。なぜ彼は、こんな生き方をするのでしょう?
多分、青鬼も昔、これと同じように、誰かに救われたのです。それが嬉しくて忘れられず、その喜びを、次の誰かに渡したいと思っているのでしょう。
これまでも、これからも青鬼は一人です。きっと彼は、今も旅を続けています。
青鬼の犠牲によって創られた、村人と赤鬼の安定した関係。世の中には、そんなコミュニティーも多いでしょう。だけどそれでいいのか? 誰かの犠牲がないと成立しない安寧の地を、理想郷と呼んではいけない。
なにより、赤鬼にとって青鬼の存在そのものが安らぎであり、オアシスであったと思います。それを失ったと気づいたから「赤鬼は、オイオイと泣いた」と思います。
今日の写真は、「泣いた赤鬼さん」と「青鬼さん」のつもりです。
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