『居酒屋兆治』と『おうちカフェさんちゃん』
もちろんこの2つには、なんの関係もありません。
ただ『おうちカフェさんちゃん』という店名を付けるとき、高倉健さんの映画や山口瞳さんの小説で有名な『居酒屋兆治』という名前を思い出し、意識しました。今日はそんな話しをします。
作者の山口瞳さんは、本のあとがきに、こんなことを言っています。「家の近くに、赤提灯の店がある。毎晩、そこへ飲みに行く。もともと物置だったところを借り受け、5坪ほどの滑稽なくらいにちいさい店だった」。
「5坪ほどの滑稽なくらいにちいさい店」というところは、『おうちカフェさんちゃん』と似ています。そして『さんちゃん』は、もともと駐車場だったところです。
映画『居酒屋兆治』は40年前に公開されました。私が丁度、お酒の味を知った頃の映画です。映画の舞台は北海道の函館でしたが、小説では東京の立川市です。映画と小説で舞台が違うのですね。公開されたとき、立川市の近くの街で学生時代を送っていた若造の私にとって、「いつかは映画や小説にでてくる、こういう渋くて寂びた店で、飲んで様(さま)になる大人になりたいものだ」と思ったものです。
では、ちょっと映画と小説の話しをします。
兆治の店には、今日も寂しい人たちが集まってくる。どうしてだろう? いや、そうではない。寂しさを抱えて生きているのが、現代の人間だ。酒と酔いが、人の寂しさを、少しだけ見せてしまうだけのことだ。1983年、酒と歌謡曲が、人の慰めという時代だった。
兆治は、もともとサラリーマンだった。あるとき、会社の合理化を進める担当を命じられた。その仕事は、彼には向いていなかった。兆治は辞表を出して、モツ焼き屋を始めた。
さてネーミングについてですが、まずは「居酒屋」とか「おうちカフェ」と、何のお店かをはっきり告げて、そのあとに、「兆治」とか「さんちゃん」という親しみやすい名前を続ける。こんな流れで決めていくつもりでした。
自分の本名を使う必要はないと思いました。『居酒屋兆治』でも、主人公の店のマスターの本名は「藤野伝吉」でした。「兆治」の名前は、ロッテオリオンズのエース投手だった「村田兆治さん」からつけたそうです。
「だったらウチは、愛犬の名前の『さんちゃん』でいいや」と思いました。愛嬌があるし、覚えていただきやすいだろうと思いました。
いつかは『居酒屋兆治』のような、温かい雰囲気の『おうちカフェ』にしたい。それが今の私の目標です。
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