草むしり
お盆休み、妻が炎天下のなか、庭の草むしりに励んでいました。
お店の丸窓から、その光景を眺めながら思い出したのが、八木重吉の詩「草をむしる」です。
『草をむしれば あたりがかるくなってくる わたしが 草をむしっているだけになってくる』
草むしりといえばやっぱり夏です。そして何でもそうですが、ひたすらに作業を続けていると何も考えずに没頭してしまいます。多くの野草がワシャワシャとお喋りしているようだったのに、刈ってしまい、静かになったように整然とし、周囲を軽く感じ始めたのでしょう。
草むしりといえば、こんなエピソードがあります。皇居の侍従が草むしりをしていると、昭和天皇から「雑草という草はないんですよ。どの植物にも名前があって、それぞれ自分の好きな場所を選んで生を営んでいるんです。人間の一方的な考えで、これを切って掃除してはいけません」とお𠮟りを受けました。植物を大切にしようという美談として広く知られています。だけど草むしりを一生懸命していた人にそれを言うのは、ちょっとご無体というものではないでしょうか。少なくても私は、妻には申し訳なくて言えません。
今日の切り絵は、草むしりをする妻です。
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