見慣れた他人(ファミリア・ストレンジャー)と見知らぬ友人(インティメイト・ストレンジャー)
通勤などで、いつも同じ時間の電車、同じ車両に乗る人は多いと思います。すると同じ人たちが乗ってくる確率も高いです。よく見かけるので顔は知っているが、話したことはなく、どこの誰なのか知らない人はたくさんいます。犬の散歩でよくすれ違う人や、いつも行くコンビニの店員さんなども同様です。
そして、そういう「見慣れた他人」を「ファミリア・ストレンジャー」と言います。
都市部に住む人にはファミリア・ストレンジャーがたくさんいます。心理学的には、そういう人とは、きっかけがあれば一時的に親密になれることが多いそうです。顔を知っている分、親近感があり、心理的距離を縮めやすいからです。
一方、メールやweb上のやりとりがあっても、実際に会ったことのない人たちもいます。いわゆる「見知らぬ友人」です。これは「インティメイト・ストレンジャー」と言います。その人の個性も趣味も環境を「読むことで」知っていても、それらは結局、その人の「言葉」を経由して知っているに過ぎません。表情や全体的な雰囲気から人となりを判断してはいませんので、些細な言葉の行き違いで、簡単に信頼感や親近感を失う可能性があります。
大昔、集落は皆、顔見知りでしたからファミリア・ストレンジャーは少なかったはずです。そして最近までインティメイト・ストレンジャーと言う関係性は皆無だったはずです。
人間関係は、そんなに簡単に広がるものではないと思いますし、それで良いと思います。毎朝、愛犬と散歩をしています。するとファミリア・ストレンジャーの方々と、会釈から挨拶を交わすようになり、気付くと、軽い世間話をするようになっている。私はそんなとき、小さな幸せを感じます。
今日の切り絵は「ファミリア・ストレンジャー」です。
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