カフカ『審判』を読んで

フランツ・カフカ(1883年~1924年)の小説『審判』を読みました。文学史に残る名著です。カフカはチェコ出身の小説家です。孤独感と不安の横溢する、独特の作品世界。その著作は、少なからぬ点数が未完であることでも知られています。『審判』も未完ですが、作品として完結しているようにも読めます。簡単にあらすじを紹介します。

30歳の誕生日の朝、Kは目を覚ますと不審な様子を感じとった。彼はいつの間にか、見ず知らずの罪で逮捕されていた。罪状を知らされないまま、彼は裁判所から被告として裁判を受けることになった。

しかし、彼は自由に生活することが許された。裁判がない日には拘束もされず、これまでの生活を続けていくことができた。

そのため、Kは裁判に関して無関心で、いつかは終わると考えていた。Kは銀行員だった。

馬鹿げた裁判に向き合う必要も感じず、自分の生活を謳歌していた。

しかし、事態は徐々に悪化した。Kは裁判の行方が気になってきた。裁判の強引なやり方に不信感と嫌気が指して、裁判のことを考えると、気が散って仕事が手につかなかった。

そこで、Kは裁判所という巨大な組織と徹底的に戦おうと決心した。

だが裁判はいつまで経っても進まず、一向にどうなるかわからない。Kは生来の傲慢さを捨てず、裁判の関係者に不遜な態度をとり続けた。

そうして迎えた31歳の誕生日前日の夜、見知らぬ二人の男たちがKのもとにやってくる。彼らKを連れ出し、町外れに連行した。様々な考えがKの頭で行き巡った。Kは死に至る暴行を受けた。

死の間際、「犬のようだ!」と彼は言い、恥辱だけが生き残っていくように感じた。

人は、酷い理不尽な扱いを受けたことを忘れません。この作品のように殺されてしまわなくても、精神をバキッと折られたまま生きていく人も数多くいます。私は、誇りある生き方をするために、やられっぱなしは良くないと思います。

Kは、こんなことを言います。「罪がないばかりか、何も知らせずに判決を下してしまうというのが、この裁判のやりかたなんだ」。そう、彼は己の罪状も、自分を訴えた告訴人もわかりません。裁く裁判官も顔も見えない。

この不条理に満ちた物語において、「裁判所」を、「社会」とか「権力者」に置き換えると、現代社会においても分かりやすいと思います。

今日の切り絵は、外国の裁判で「静粛に!」とやるときに使う小槌(ガベル)です。

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