映画『シンシン』を観た
(あらすじなど)
この映画の舞台は、ニューヨークに在る収監施設<シンシン刑務所>だ。この刑務所では、舞台演劇を通して収監者の更生を目指すプログラム「RTA」が行われている。興味深いのは、この映画の主要キャストの85%以上が実際にシンシン刑務所の元収監者であり、演劇プログラムの卒業生及び関係者たちであることだ。
さて、無実の罪で収監された黒人男性のディヴァインは、刑務所内の収監者更生プログラムである<舞台演劇>グループに所属し、仲間たちと日々演劇に取り組むことで、僅かながらに生きる希望を見出していた。そんなある日、刑務所一番の悪党であるクラレンスが演劇グループに参加することになる。そして次に控える新たな演目に向けての準備が始まるが…。事実に基づいた感動作である。
(感想など)
驚くべきことですが、アメリカでは、拘置所などに入れられている人の80%以上は、犯罪で有罪判決を受けていません。この前提を知っておくことは、映画『シンシン』を観るうえで必要です。これはアメリカの刑事司法制度には、組織的な人種差別が根強く存在しているからと言われています。
さて、主人公の黒人男性ディヴァインは、無実であるにもかかわらず、殺人犯の汚名を着せられ、25年もの長い間、刑務所のなかで過ごしました。他にもそのように収監されている人もおり、彼らが抱える怒りはとてつもなく大きいものです。
それでも、彼らが心に希望をつなぎとめられたのは、「演劇」に参加できたからです。収監されている人たちの「劇団」の演出家は「プロセスを信じろ」と、稽古中の劇団員たちに繰り返します。「プロセス、プロセス、プロセス」。そう、演劇でも成功するかという結果(リザルト)は大切です。しかし、そこに至るまでの練習、つまりプロセスはもっと大切だと繰り返します。
劇団には、無実なのに収監されている者も、罪を犯した者もいます。結果(リザルト)として、ここ(刑務所)にいますが、「人間に戻るために、心を取り戻すために、演劇をするんだ。プロセスを信じろ」と言うのです。そう、そして舞台では、人は王様でも、勇者でも何にでもなれるのです。
人は、失意に沈んだり、立ち直ったりを繰り返します。ましてや収監されている人たちのそれは、辛いものだと思います。彼らの痛みを分かち合う姿、心を救う者と救われる者が、状況によって入れ替わる互助関係はとても感動的でした。
人に貼られた負のレッテルを剥がすのは容易ではありません。しかし勇気と誠実な心をもち、正しく行動していきたいと、この映画を観て、強く思いました。
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