小説『沈まぬ太陽』(著 山崎豊子 1995年から1999年まで週刊新潮で連載)を読んで

単行本・文庫本で700万部を売り上げた長編小説です(文庫本で5冊)。事実に基づいたフィクションといえる作品です。航空史上最大のジャンボ機墜落事故(死者540名 1985年8月12日)についても書かれています。あの大惨事の時、私は大学4年生で、就職活動をしていた8月に大事故が起きました。他人事とは思えず、テレビから流される悲惨な映像を唖然としながら見ていました。では、あらすじを紹介します。

『昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地(おんち)は、労働組合委員長として職場環境と安全運航の改善に取り組んでいた。だがその結果、恩地は懲罰人事ともいえる海外赴任命令を会社から言い渡される。カラチ、テヘラン、ケニア……。終わりなき海外の僻地への辞令が続く間、会社は帰国をちらつかせ、恩地に組合からの脱退を促すのだった。信じていた仲間の裏切りや家族との長年にわたる離れ離れの生活によって、恩地は焦燥感と孤独感に耐える日々を送っていた。

10年に及ぶ海外の僻地での不遇な海外勤務に耐え、恩地は帰国、本社への復帰を果たすが、冷遇は変わらない。そんな逆境の日々の中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こる。想像を絶する犠牲者の数。現地対策本部に配属された恩地は、救援隊として現場に赴き、遺族係を命ぜられるが、そこで様々な悲劇を目の当たりにする。

政府は会社組織の建て直しを図るべく、国民航空新会長に国見(くにみ)の就任を要請。恩地は、国見にかつての労働組合をまとめた手腕を買われ、新設された会長室の部長に大抜擢される。事故によって失墜した会社の再建に尽力する国見と恩地。そして、その実直な姿勢は、国民航空と政界との癒着構造を浮き彫りにしていく。しかし…』。

航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起きた頃に、社会人生活を始めた私たちの世代は、段々と定年を迎えつつあります。長い期間には、組織人として、人それぞれの歩みがあったと思います。

順調にいった者、不当人事や人事差別、左遷に苦しんだ者…。

この長編小説は、1961年から30年に渡る一人のサラリーマンの人生を描いています。主人公の恩地の企業人としての生き方に惹きつけられます。物語はハッピーエンドではありません。不当人事で、彼は再びアフリカへの赴任が言い渡され、ほろ苦い結末を迎えます。

しかし、彼の心は晴れ晴れとしたものでした。最後まで、自分の生き方を貫けたからです。真っ直ぐに生きることの難しさに耐えながら、自分の尊厳を守り抜きました。

そんな生き方に憧れますね。今日の切り絵は、旅客機です。

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