映画『旅と日々』を観て
(あらすじ) つげ義春の漫画「海辺の叙景」を原作に、女性脚本家の李による脚本の映画が、大学の授業で上映されている。こんな内容だ。“夏の海。ぼんやりしていた青年は陰のある若い女に出会う。二人は何を語るでもなく散策する。翌日、台風が近づくなか雨に打たれながら、波打つ海で二人は泳ぐ”。
上映に立ち会い、自分の作品を観た李は「私には才能がないな」と深く落ち込む。
冬、李は無計画に雪国に旅立つ。一面の銀世界。宿も見つけられずに、さまよううち、李は古びた宿にたどり着く。屋根には雪が積もり、今にも崩れそう。その宿を営むのは、ものぐさな主人・べん造だ。暖房もなく、まともな食事も出ず、布団も自分で敷かなければならない。ある夜、べん造は「錦鯉(にしきごい)のいる池を見に行くか」と李を夜の雪の原へと連れ出す。高価な錦鯉を盗み、それを売り、お金を得ようという計画だ。しかし寒さで、錦鯉は桶の中で凍ってしまい、失敗。仕方がないので、焼いて食べることにした。滑稽だ。それまでずっと硬い表情をしていた李は笑い出す。喋り始めた。「お前はベラベラとよく喋るの」とべん造はボソッと呟く…。
(感想など) 「2025年の邦画の賞レースは“国宝”の一人勝ちかな」と思っていたら、この映画が、日本で最も歴史ある映画賞「キネマ旬報ベスト・テン」において、日本映画第1位になっていました。
前述のあらすじのとおり、物語に特別なことは何も起こりません。それなのに…です。
この映画は、微かなきっかけで、人の心が回復していく映画です。微かなものだらけです。大事件は起きません。観光名所も出てきません。「友が救ってくれた!」というカタルシスもありません。全ての登場人物の関係は、お互いの名前も知らないような薄いものです。「そんななかでも、人は救われることがある」とこの映画は語りかけます。「意味のある出来事や大事な人が、自分を救ってくれると人は思いがちだけど、そうでもないことも結構あるよ」と優しく語りかけてくれます。ひょっとして、何気ない、人とのふれあいが人生を変えていくものなのかもしれません。
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