動画コンテンツの倍速視聴

先日の朝日新聞夕刊に、興味深い記事が載っていました。要約して紹介します。

動画コンテンツを早送りで見る「倍速視聴」が広がっていて、大学のオンライン授業もその対象になっている。ほぼ半数の学生が1.25倍や1.5倍に早めて講義を受講していた。三分の一以上の学生が、1.5倍速で受講している。そのことは学業成績に影響するのか? 結論としては、動画を早めて受講しても、通常倍速で受講しても、学業成績とは無関係であることがわかった。

学生たちの倍速視聴の習慣は広がっていて、ドラマや映画を早送りする者もいる。物語展開に関係あるセリフは聞くが、関係のない情景描写の部分は省いて視聴するそうだ。ある学生は「倍速が心地いい。なるべくいろんな情報を採り入れることが、ほかの同世代との差別化にもつながるし、自分の強みになる」と話す。

学生が、講義を倍速視聴してしまう気持ちはわかります。私も勤め人をしていたときは「伝達事項の動画コンテンツは、倍速視聴が合理的だな」と思っていました。情報が伝達されるのみであるなら、個人にあった速度の視聴で構わないと思います。話し手が「え~っ」とか「う~ん」と頻繁に言ったり、不必要な間が生じることで、視聴者が感じてしまう「もっと早くすすめてよ」というストレスは、動画視聴のほうが、実際の対面式講義形式の情報伝達より多いと思います。

一方、ドラマや映画の早送りの視聴はどうでしょう? ここでは映画について考えてみます。

映画鑑賞といいます。映画観賞とはいいません。「鑑」と「観」は少し違います。「鑑賞」は対象を見聞きするだけでなく、「より深く理解して味わう」という意味があります。「鑑」という字には「何かを見極める、品定めをする」といった意味があるそうです。

一般的に、映画は芸術性が高く、制作者の意図、作品に込められた意味などを理解しながら楽しみます。だから「鑑賞」を使います。音楽も「鑑賞」を使うのが一般的です。耳で聞いて楽しみ、その意図や価値を理解するので、「観賞」ではなく「鑑賞」です。

映画も音楽も本来、倍速視聴をして楽しむものではありません。そして映画においては情景描写が占める割合は大きいと思います。

とはいえ、動画コンテンツの楽しみ方が、色々あることを否定するつもりはありません。人それぞれの楽しみ方があっていいと思います。

ただし倍速にしたり、スキップさせたりして視聴するのは、本来の「映画観賞」とは違った楽しみ方である、と私は思います。

おうちカフェ さんちゃん

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