CODA(2022年 米国アカデミー賞作品賞を受賞した映画)について
2023年 米国アカデミー賞の発表は3月13日(月)です。
今日は、昨年2022年 米国アカデミー賞で、作品賞を受賞した映画「CODA」を紹介しようと思います。まずはあらすじを紹介。
アメリカ,マサチューセッツの漁港をかかえた小さな田舎町。女子高生のルビーは聴覚障害者の父、母、兄と暮らしている。ルビーは、家族で唯一の健聴者だ。家族の中でひとりだけ耳が聞こえるため、家族の通訳係として、家業である漁業を毎日欠かさず手伝っている。
3年生の新学期。ルビーは合唱クラブに入った。すると顧問の先生がルビーの歌の才能に気付き、都会の音楽大学の推薦入試を受けることを勧めてくれた。ルビーは大喜び。そして音大に進学したいと家族に話す。娘の才能を知る由もない両親は驚き、家業のほうが大事だと猛反対した。ルビーがいなくなったら困るのだ。しかしルビーは、自分には自分の人生があると反論する。
家族の大ピンチだ。父と兄は聴覚障害者。健聴者のルビーが同乗しなければ、漁を行う許可が下りない。ルビーは音大進学を諦めるしかなかった。
卒業が近づき、合唱クラブの卒業コンサートの日が来た。ルビーの父と母も見に来ている。
沸き立つ会場。父と母は、周囲に合わせて適当に手を打ったりしながらも、次第に飽きてきた。仕方ない。彼らは耳が聞こえないのだ。「夕食は何を食べたい?」。「スパゲッティー」と手話で無駄話もしていた。やがてプログラムはクライマックスを迎えた。ルビーの独唱。父は娘の歌声を聞くことはできないが、気配を知ろうとキョロキョロした。歌声に聴き入る人、微笑む人、涙ぐむ人もいた。父は、多くの人の心に響いている娘の歌声の素晴らしさを初めて知った。
夜、家族は帰宅した。娘が父の横に座ると、「もう一度ここで歌ってほしい」と父が頼んだ。ルビーは不思議に思いながら歌い始めると、父は両手を娘の喉にそっと押し当て体で歌声を感じようとした。そして、愛おしそうに額と額をくっつけた。
さて「CODA」という語については以下のとおりです。
1 楽曲の終わりを表す音楽記号のことです。また次の章が始まる意味を持ちます。
2 Child Of Deaf Adultsの略語で、聴覚障害者の親を持つ子どもという意味を持ちます。
次に映画の感想を述べます。
自分の進む道を決めるとき、「やりたいことをやる」も「家族の犠牲にはならない」もある面、正しいと思います。しかし人間は、一生を通じて、色んなことに板挟みになります。一人で生きていけるわけではないし、ここまで一人で育ったわけでもない。周りの理解を得るのは大切なことです。その努力を惜しんではいけません。
うまくいかないときもあります。ルビーが音大進学を諦め、船に乗ることになって物語が終わっても全く仕方ないことだと思いました。この映画の素晴らしさは、どちらが正しいと言わないことです。
父は、拍手を送り、涙さえ浮かべる観客の様子から、間接的に娘の素晴らしさを知ります。喉のバイブレーションで娘の歌を味わおうとします。
人生に迷ったとき、その背中を押してくれるのは、大切な家族であることを忘れてはいけませんね。
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