ノマドランド(2021年 米国アカデミー賞作品賞を受賞した映画)について

今を代表する名女優といえばフランシス・マクドーマンドだと思います。映画「ノマドランド」は2021年アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞を獲得しました。マクドーマンドの主演女優賞3度目の受賞はキャサリン・ヘプバーンに次ぐものです。3度目の受賞で、メリル・ストリープとイングリッド・バーグマンに並びました。彼女以外は皆、超有名。彼女には、もっと知名度があっていいのにと思います。この映画はノンフィクションをベースにした作品です。ではあらすじを簡単に紹介します。


62歳の彼女は、夫に先立たれ、定職もなく車上生活だ。バンに思い出を詰め込み、「現代のノマド=遊牧民」として、季節労働の現場を渡り歩いている。「ノマド」とは、季節労働の場を求めて、キャンピングカーに乗り、長距離を移動しながら生きる、現代アメリカにおける遊牧民だ。多くが高齢労働者であり貧しく、雇用は不安定。労働者の権利はなきに等しく、働けなくなれば、生活は破綻する。アメリカ資本主義システムの致命的欠陥の象徴とも言われている。


では、押し並べて彼らは不幸で哀れなのか。それがこの映画のテーマです。

主人公である62歳の彼女は、かつて教員をしていたことがあり、その頃の教え子に、「先生はホームレスになったの?」と聞かれます。彼女は誇りをもって答えます。「私はハウスレス。別物よ」。住むハウスはないけど、帰るべきホーム(車)はあるということでしょう。

近親者から「一緒に住まないか?」と聞かれたときは、「定住という常識に縛られて、死ぬときに後悔したくない」と彼女はきっぱり断ります。ノマドの路上での生活は、必ずしも逃げではないと思います。それで安寧を見出せるなら、実りある人生を送れると思います。

ノマドの人たちは、「さよなら」と言わないそうです。病で余命幾ばくもない高齢の女性がいました。もうノマドの仲間と会うことはないだろうと彼女はわかっているのに、それでも彼女は「またね」と言って、キャンピングカーで出発しました。そういえば、僕らも友だちと別れるとき、「じゃ~(また)ね~」と言いますね。

これは交流と安息の物語だと思いました。


今日の切り絵は、フランシス・マクドーマンドです。似顔絵としてはどうかなあ。でも社会からはじかれ、髪を切るお金もなく、漠然とした不安を感じている初老の女性の様子は、まあまあ表現できたかなと思います。

もう一枚の切り絵は、この映画の背景です。

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

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