春雨じゃ濡れて行こう
雨の日が続きます。私は今の季節、よくこの台詞を思い出します。若い人にはピンとこないかもしれません。
この台詞は「月形半平太」という、行友李風(ゆきともりふう)原作の戯曲からのものです。戦前から戦後まもなくにかけて、何度も映画化されました。
幕末の京都を舞台にした、長州藩士である月形半平太を主人公にした恋と剣の物語です。月形半平太のモデルは、武市瑞山(通称 武市半平太)だといわれています。あらすじは以下のとおりです。
『長州藩士の月形半平太は、茶屋遊びばかりしている。しかし彼の心の中は勤皇への想いで一杯であった。血気盛んな仲間たちには、彼の軽々しい行動を咎める者が多かった。それは大義を果たすための仮の姿なのに、その真意は理解されなかった。やがて彼は、同志の策略で新選組に襲われ、息絶えるのだった』。
その中で有名な台詞がこれです。月形半平太が、傘をさしかけてくれようとする舞妓・雛菊に対して言う台詞です。
雛菊 : 「月様、雨が」
半平太 : 「春雨じゃ濡れて行こう」(はるさめじゃ ぬれていこう)
1952年公開の松竹映画では、雛菊は美空ひばりさん、半平太は市川右太衛門さん(北大路欣也さんの実父)が演じていました。
今でも年配者のなかには、小雨の中を傘なしに歩く時に、またある時は気取ったり、照れ隠しに、この言葉が使う人がいます(私がそうです)。
今日の写真は、雨に濡れるウチの庭です。
0コメント