生まれて初めて覚えた古典
「生まれて初めて覚えた古典は『平家物語』の冒頭部分」という人は多いと思います。私も中学生のとき「暗記しなさい」と宿題が出され、覚えました。
(原文)
祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。
(読み方)
ぎおんしょうじゃのかねのこえ しょぎょうむじょうのひびきあり
しゃらそうじゅのはなのいろ じょうしゃひっすいのことわりをあらわす
おごれるひともひさしからず ただはるのよのゆめのごとし
たけきものもついにはほろびぬ ひとえにかぜのまえのちりにおなじ
(口語訳)
祇園精舎の鐘の音には諸行無常、すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがあります。
沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものである、という道理をあらわしています。
世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようです。
勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようなものです。
才能に恵まれ、多くの人に応援され活躍していた人が、自らの心ない所業により、信頼を大きく失うことがあります。残念なことです。『おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし』。800年前位に書かれた言葉。現代にも十分通ずる至言です。
今日の切り絵はそんなことをシンプルに描いてみました。
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