ハードボイルド

私はhard-boiled という単語を、hard-boiled egg(固ゆで卵)から覚えたので、初めてhard-boiled novelという単語を見たとき、「ハードボイルド小説」というのは卵の調理法の物語だと思いました。とんでもない勘違いです。

少しして沢田研二さんの「カサブランカダンディー」というハードボイルドをテーマにした唄が流行りました。「ボギー ボギー あんたの時代はよかった 男がピカピカの気障でいられた  ボギー ボギー あんたの時代はよかった 男のやせがまん 粋に見えたよ」。ハードボイルドとは、やせ我慢の男の生き方のことだと思いました。大分、正解に近づいたと思います。

そしてしばらくして、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』(清水俊二訳)を読みました。今は同じ小説が村上春樹の新訳『ロング・グッドバイ』として出ています。

探偵フィリップ・マーロウが主人公のかっこよく、切ない小説です。男同士の友情の物語。名セリフが随所に散りばめられています。

「さよならは言いたくない。さよならは、まだ心が通っていたときに既に口にした。それは哀しくて、孤独で、先のないさよならだった」とか「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」とか…。

この本で、私はハードボイルドについて学びました。

① ハードボイルドの主人公は、犯罪について、善悪の価値判断を交えず、単なる現象として対処する。

② ハードボイルドの主人公は、心にタフな芯を持ち、その芯をぶらさずに思考し行動する。自分のルールを曲げられない。

③ ハードボイルドの主人公は、知的である。セリフの多くはシンプルでクール。ほんのひと言を返す時もある。しかしそのワンワード、ワンセンテンスの中に皮肉やひねりがある。

今週末から、この小説の公式続編(レイモンド・チャンドラーは既に故人ですが、他の人が許可を得て書いた作品)を映画化したもの「探偵マーロウ」が公開されます。主演はリーアム・ニーソン。観に行きたいです。

今日の切り絵はフィリップ・マーロウです。

おうちカフェ さんちゃん

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