幸運の象徴 ― 蝉の抜け殻(空蝉)
「マスター、あそこに空蝉(うつせみ)がいますよ」。昨日、お店の丸窓から庭を眺めていたお客様から声をかけられました。風流な表現はいいですね。というわけで今回の写真は、蝉の抜け殻(空蝉)です。蝉の抜け殻は、幸運の象徴と言われています。蝉は成虫になる確率が30%位と低く、蝉の抜け殻は、無事に成虫になることが出来たという証になります。古来日本では、空蝉は儚さの象徴とされていました。一方、多くの外国では生命力の象徴です。長い時を土の中で過ごし、羽化したあと空に飛び立つその姿から、「再生と復活のシンボル」「大きく成長する前兆」。蝉の抜け殻がなかなか落ちないことから「粘り強さ」、フランスでは、「幸運を呼ぶ虫」と呼ばれているそうです。この夏、蝉の抜け殻を探してみませんか。幸運が訪れるかも!
儚さの象徴としての空蝉を題材にした短歌といえばこれですかね。
空蝉(うつせみ)の からは木ごとに ととむれど 魂(たま)のゆくへを 見ぬぞかなしき
(古今和歌集 よみびとしらず)
意味:蝉の殻は、木に留まっているけれど、その魂の行方を見ることはできない。それは悲しい。
ちなみに蝉は成虫になったら、7日間位しか生存しないと子どもの頃教わりましたが、それは間違いだったと今回知りました。7年前のある調査の結果、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミの3種で10日以上の生存を確認、最長生存確認記録はアブラゼミが32日間、ツクツクボウシが26日間、クマゼミが15日間だったそうです。けっこう長生きですね。驚きです。そして、その大発見は岡山県の高校生によって成し遂げられました。「もっと長生きでは?」と仮説を立てたのは中学3年生の頃だったそうです。もっと驚きです。大変な観察だったと思います。
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