映画『 To Leslie(トゥーレスリー) 』を観て

妻と久しぶりに映画を観ました。普段、互いの仕事の都合で、休みの日が合わないのですが、今回はたまたま合いました。「人生の夜明けはみじめであたたかい」とこの映画のポスターに書いてありました。人生の再起を図る人間の姿を丹念に描いている感動作でした。鑑賞後、「おうちカフェさんちゃんを始めたときと、私たちの在り様に映画の内容は似ている」と妻と感想を述べ合いました。ではあらすじを紹介します。


テキサス州西部。シングルマザーのレスリーは息子のジェームズと慎ましく暮らしていた。そんなレスリーに思いがけない転機が訪れる。宝くじで19万ドル(約2600万円に相当)を当てたのだ。大金が舞い込み、大はしゃぎだ。きっとこれで苦労はもう何もなくなる。そう思った。

6年後。レスリーは部屋に一人でいた。ここは低所得者の住むモーテルだ。今のレスリーは無一文で、宿代のおカネもない。周囲の人に無心するも願いは叶わない。レスリーは下品な言葉で悪態をつき、スーツケースを抱えて出て行った。

酒をヤケクソに飲むレスリー。飲酒癖で金も使い果たしたのに懲りていない。レスリーには住む場所もない。疎遠になっていた19歳の息子のジェームズに頼ることにした。息子は酒を断つことを条件で同居を許可した。「今後の計画は?」と息子は聞くが、レスリーは考えていない。ついにレスリーは息子の金を盗み、酒をまた呑み始めた。息子は気付き「金を盗んだろ。酒も飲んでいる」と責めたてた。息子は失望し、少しのカネを渡して、レスリーを追い出した。

レスリーは再び一人となった。今度は旧友のナンシーに頼ることにした。レスリーを疎んじているナンシーは、滞在をしぶしぶ許可した。しかし、ここでもレスリーは酒場に行き酔っぱらう。自堕落さは変わらない。ナンシーの家からも追い出された。

再び行く当てを失くし、彷徨うレスリーは、手荷物を失くしたことをきっかけに、モーテルで働く中年男のスウィーニーと出会う。人のいい彼の申し出により、モーテルの住み込み清掃人として働き始める。悪癖はすぐには直らないが、スウィーニーの粘り強いサポートのおかげで、徐々に彼女の中で何かが変わり始めた。後悔だらけの過去を見つめ直し、母親に失望した息子のためにも、人生を立て直すセカンドチャンスに手を伸ばし始める。


映画の終盤、レスリーはモーテルの片隅にある朽ちた小さな建物をリフォームし、飲食店を始めます。そして店の開店の日、息子がレスリーの店を訪れました。ついに親子の絆を取り戻せたのです。

この映画の登場人物は、みんなどこかで挫折しています、哀しみを堪え生きています。

この映画は「誰もが欠点を抱えて生きている。それを批判せず、ありのままを受け入れ、できる限り寄り添っていこう」と語りかけます。現代の風潮に、困ったことを引き起こした個人を、すぐに自分の領域の外に置きたがるというものがあります。そのほうが自分の立場は安全だからです。処世術としては間違ってはいないのかもしれない。

一方、「共感」という言葉があります。「共感」には自分と他者の存在が不可欠です。「人間性を豊かにするような他者への洞察」こそが「共感」の本質なのだと私は思います。

宝くじに当たることも「アメリカンドリーム」というそうです。そして「アメリカンドリーム」というのは幸運を手にすることだけではなく、自分の可能性と他人の善意を信じて、闘い続けることなのかもしれません。

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

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