映画『ザ・クリエイター/創造者』を観て

SFアクション大作を観ました。まずはあらすじを紹介します。

2065年。AI(汎用人工知能)の反乱により、ロサンゼルスで核爆発が起こり、100万人死んでから15年が経過した。アメリカ率いる西側諸国はAIロボットの駆逐を掲げ、アジアと戦争状態にあった。アジアではAIと人間が共存しており、互いがかけがえのない存在だった。

軍人のジョシュアはアジアにいるAIの創造者・クリエイターを殺害する任務を命じられ、AIの模造人間(人間のようなAI)と人間が共存する地域に潜入し、スパイ活動をしていた。

ジョシュアは現地で女性・マヤと出会った。2人は愛し合い結婚。マヤは妊娠した。地域のリーダーで模造人間のハルンたちも、ジョシュアを仲間として迎え入れていた。

そんな中、アメリカ軍が上陸。マヤはジョシュアがスパイだったと知り絶望した。アメリカの最新兵器・ノマド(上空から敵地を爆撃する施設)がマヤたちの地域を爆撃した。マヤは船に乗り込んで逃げようとしたが、ノマドの爆撃によって行方知れずとなった。

5年後。アメリカに戻っていたジョシュアは「アジアで、創造者・クリエイターが作ったAI側の最終兵器を探す任務に帯同してくれ」と言われる。ジョシュアはアジアに行けば、妻・マヤの行方がわかるかもしれないと再びアジアへ向かった。

自然豊かな現地の地下に巨大な研究施設を発見。厳重な扉の中に隠されていた最終兵器はAI少女・アルフィーだった。彼女は感情を持っているようで、人間の子供となんら変わらない。ジョシュアは、アルフィーならマヤの居場所を知っていると考えて連れて逃げた。命令に反する行為だ。ジョシュアたちはアメリカ軍やハルンの部隊の両方から狙われた。アルフィーを狙うアメリカ軍とアジアの部隊が戦闘状態になる。アルフィーは特殊能力を使い、アジアの部隊を助けた。

やがて、創造者・クリエイターの正体が妻・マヤだと判明した。元はマヤの父が創造主だったが、父の死後にマヤが受け継いで最先端のAIを作ったらしい。

ジョシュアはハルンから、「アルフィーはマヤが自身の胎児をスキャンして作った成長するAIだ」と聞かされて驚く。アルフィーはマヤのお腹の子供のコピーだったのだ(つまりジョシュアの子供)。

戦いは続く。人類(西洋諸国)VS人工知能(アジアの部隊)の結末は? そして父子(ジョシュアとアルフィー)が直面する現実とは?

この映画のギャレス・エドワーズ監督は「20年以上前、日本のドラマ『子連れ狼』を観て、こんな映画を作ってみたいと思っていた」と語っています。SFアクション大作と『子連れ狼』がどう結びつくのだろうと思ったのが、この映画を私が観た理由です。今日は、2つの作品の共通点を探します。

まず、ジョシュアは萬屋錦之介が演じていた拝一刀(おがみ いっとう)。最終兵器のAI少女・アルフィーは大五郎(だいごろう)ということになります。ジョシュアとアルフィーを取り巻く混乱した残酷な世界は、拝一刀の言うところの「冥府魔道(めいふまどう:常に争いの絶えない怒りに満ちた世界)」でしょう。ジョシュアが優れた軍人から、はぐれ狼のような行動をとるようになったのは、拝一刀が公儀介錯人(こうぎかいしゃくにん:幕府から切腹を命じられた大名の介錯行う首切り役人)から、刺客になり、大五郎と二人旅を始めたことと似ています。

映画『ザ・クリエイター/創造者』のなかの父と幼い娘(AI)の行動は、『子連れ狼』のなかの父と幼い息子の行動と似ていると知ってから鑑賞すると、この映画はなお一層面白いものとなると思いました。きっと世界的ヒット作品になるのでしょうが、日本人にしかわからない鑑賞の仕方でしょう。

最後に『子連れ狼』主題歌の歌詞を紹介します。

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん・しとぴっちゃん

哀しく冷たい 雨すだれ おさない心を 凍てつかせ 帰らぬ 父を待っている

ちゃんの仕事は 刺客ぞな しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん

涙かくして 人を斬る 帰りゃあいいが 帰りゃんときゃあ この子も雨ン中 骨になる

この子も雨ン中 骨になる ああ 大五郎 まだ三才

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

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