私の名前は「郁子(むべ)」といいます
散歩をしていると、様々なお宅の生垣(いけがき)を目にします。生きた植物のもつ色彩の美しさは素敵です。今日の写真は、あるお宅の生垣に見つけた、郁子の実と、その隣にあった洒落た添書きです。「こういう添書きを書く人の感性って、素晴らしいなあ」と思います。良い街だと実感します。
さて、郁子の実から思い出す言葉は、何と言っても「むべなるかな」ですね。現代語にすると「いかにももっともなことだなあ」です。
この植物「郁子(むべ)」の語源は、天智天皇(626~671年)が発せられた一言でした。伝説があります。天智天皇が琵琶湖南部へ狩りに出かけた際、8人の息子をもつ元気な老夫婦に出会いました。「お前たちはなぜ、こんなに元気なのか」と聞くと、老夫婦は「この地で採れる無病長寿の果物を、毎年秋に食べているからです」と答えました。老夫婦は果物を天皇に献上しました。それを賞味した天皇が「むべなるかな(もっともだな)」と言ったことから、この果物が「郁子(むべ)」と呼ばれるようになったそうです。一時は途切れたこともあったそうですが、古代から現代まで皇室に献上され続けています。
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