『言語の本質(著 今井むつみ/秋田喜美)』(中公新書)を読んだ!
今日、紹介する本は、友人から「面白いから読んでみて」と推薦された『言語の本質(著 今井むつみ/秋田喜美)』(中公新書)です。かつて言葉に関係する仕事をしていた私にとって、興味深く、すぐに内容に惹きこまれました。2024年新書大賞にもなったベストセラーです。誰にでも簡単な内容かというと、そうではありませんが、ここではなるべく理解しやすく、箇条書きで紹介していきます。
① 人の学びは、「なるほど~」と腑に落ちたり、過去の経験がないと、会得しにくい。そして昨今のAIは、経験に頼らず、情報量で正解らしきものを抽出する。そして精度も向上している。
② 学校で、言語について、色々なことを学ぶが、実は学校に入る前の子どもたちの学びの姿勢こそが、言語習得の本質である。より大切なのはその前の段階である。
③ 言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることでもある。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。
④ オノマトペとは、音や状態などを言語化したもの。例えば、「コロコロ」や「サラサラ」。特徴として濁音をつけて、「ゴロゴロ」や「ザラザラ」にすると、大きいもの、重いもの、荒いもの、不快な手触りなどを示すようになる。
⑤ アブダクション(仮説形成)推論というのは、例えば、誰かと待ち合わせしていて、その人が来なかったとする。「仕事で忙しいから、来られなかったのかな」と思う。でも、それは必ずしも正しくない。来なかった理由は、仕事とは限らず、ほかの理由はいくらでもある。でも人は「残念だな。仕事終わらなかったのかな」と思ったりする。そういうのをアブダクション推論という。これは人間特有の考え方だ。人間は生きていて、それを多用する。他の動物は、「来ない」と認識するだけだ。
⑥ 人間は、⑤で示したような論理的には正しくない推論の方法を行う。そして間違えることもあるが、都度修正する。これこそが、人間が高度な言語を使えるようになる理由なのではないか。AIとは違う。人間の言語の本質はここにあるのではないか。
以上、本書の内容のほんの一部です。言葉に興味がある人や、人の学習システムなどに興味がある人にお勧めです。そして多分、受験生は必読です。「今年や来年の大学入試問題などに引用されやすい文章だな」と思いました。
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