悼む気持ち

「雨月物語(1768頃)」のなかの「菊花の約(ちぎり)」という物語を紹介します。

播磨の国(兵庫県南西部)の左門という学者が、旅行中に病になり苦しんでいた武士の宗右衛門を助けた。二人は親しくなり義兄弟の契りを結んだ。その後、宗右衛門は郷里の出雲(島根県北東部)に一度帰るが、9月9日の節句には必ず戻ってくると約束する。約束の日、左門は酒を用意して待つが、宗衛門はなかなか来ない。やっと夜中になって、影のような姿で宗右衛門がきた。しかしそれは生きた人間ではなかった。トラブルに巻き込まれ幽閉された宗右衛門は「魂よく一日に千里をもいく」ということを思い出し自害した。そして魂のみが左門に会いにきたのだ。(後は略)

最近、「菊花の約」を思い出させる、こんなことがありました。大学時代の剣道部の3歳年下の後輩が亡くなりました。彼は現在、埼玉県に住んでいましたが、熊本県出身でした。私の同期にも熊本県出身の者がいます。彼らは同じ故郷の先輩と後輩になります。酒盗

同期の熊本県出身の友人から電話がかかってきました。「あいつの通夜と葬儀に行ってやりたいから、お前の家に一泊させてくれ」。もちろんOKです。人情に厚い奴です。昭和時代の運動部の4年生と1年生は、親しく話す機会はあまりありませんでした。それでも「後輩を弔ってやりたい」と熊本からやってきました。故郷・熊本県から遠く離れた埼玉県で亡くなった後輩に、自身が纏(まと)う熊本の空気を届けたかったのだと思います。

彼は私の健康をしきりに気にしていました。「元気だよ」と答えても、「うんにゃ、心配しすぎて悪いことはなか。お前、太ったんじゃなかと? 血圧はどうね? 運動はちゃんとしとるか?」と繰り返します。「もう、当時の仲間が死ぬのは見たくなかとよ」と言います。

今日の写真は、「塩分の摂り過ぎは注意せえよ」と言われながら、頂いたお土産の酒盗です。

#雨月物語#菊花の約#魂よく一日に千里をもいく#通夜#葬儀#故郷#健康#土産#おうちカフェさんちゃん#おうちカフェ#小さいカフェ#柏市

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

0コメント

  • 1000 / 1000