詩の力
朝日新聞(8/22)の「耕論」のテーマは「詩の力」でした。
あなたは詩を読みますか? 小説やエッセーに比べると、読む人は少ないと思います。
記事によると実際、学校の授業でも、詩を積極的に取り上げているとは、言いづらい状況だそうです。確かに詩の創作に「正解」はなさそうです。また「この詩は傑作だ」と押し付けられる類のものとも思えません。高校では、同じ作者の同じ作品を「教養」として学習することが多いそうです。
詩とはなんでしょう? 私は室生犀星(1889年~1962年) を思いました。
彼の代表作といえば、『小景異情』です。「ふるさとは 遠きにありて 思ふもの そして悲しく うたふもの…(後略)」という作品ですね。多くの人が知っていると思います。私も良い作品だと思います。「他にどんな作品があるのかな?」と中学時代、彼の詩集をパラパラとめくったときがあります。そのとき『永久に』という室生犀星が1919年に書いた作品を見つけました。こんな詩です。
『「永遠にそうしていきましょう! 一生涯手をとって行きましょう!」
カラマーゾフ兄弟の終わりの コーリャのこの言葉を読み進んだとき 自分はほんとに涙を感じた
たとえ悪い人間になっても 善い人間に成長しても お互いこうして遊んだ少年時代を忘れないで たったこれだけを忘れないでいようと みんな少年らが誓い合うところで 私は何もかも忘れて泣き出した
ああ「永遠にそうしていきましょう! 一生涯手をとって行きましょう!」』
(※多少、読み易くなるよう現代語に直しています)
今、読み返すと「若いときの作品だし、犀星といえども粗削りかな」と思ったりしますが、当時は「素晴らしい言葉に出会った」と思いました。中学生で、カラマーゾフ兄弟も文豪ドストエフスキーも知らないのに、感動しました。
そう、詩の初心者が、入り口で、感動したいために、共感したいために、詩に触れるのは良いことだと思います。そして、その先で、自分にピッタリの言葉に出会えたら、こんな幸せなことはありません。
今日の切り絵は、「詩人」です。
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