映画『ある一生』を観て

(あらすじ)

激動の20世紀、アルプスに生きた、名もなき男の、ありふれた一生の物語だ。1900年頃、孤児のエッガーは渓谷に住む、親戚の伯父の農場にやってきた。しかし、農場主の伯父にとって、孤児は安価な働き手に過ぎない。エッガーは酷い虐待を受けた。彼にとっての心の支えは老婆のアーンルのみだった。彼女が亡くなると、成長したエッガーは躊躇することなく、伯父の農場から出て、日雇い労働者として生計を立てた。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェイの建設作業員になると、最愛の人マリーと出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かない。ある晩、彼らの小屋は雪崩に巻き込まれ、妻のマリーは帰らぬ人となった。

第二次世界大戦が勃発。エッガーも戦地に召集された。彼はソ連軍の捕虜として捕らえられた。何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そしてそこには、近代化の波が到来していた。観光客に溢れ、スーパーマーケットもあった。人生の終焉を迎えたエッガーに、過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くす…。

(感想など)

何も劇的なことは描かれないのに、深い感動を覚える映画です。

エッガーの運命は苦労を伴うものでした。子どもの頃は、伯父に折檻を受け続け、戦争のときは、彼の祖国ドイツやソ連の国策に翻弄されました。しかし、彼は愚痴ることもなく、恨んだり、皮肉を言うわけでもありません。強制収容所の生活も甘んじて耐えたし、伯父に折檻を受けても、決して泣き叫びませんでした。私たちは、全てを受け入れる彼の人生を目の当たりにします。「傷は積み重なる。その全てが人を作るんだ」。失意の底に陥りながらエッガーは呟きます。

彼が生涯で、声をあげて泣いたのは、妻を亡くしたときだけでした。そのあと、生涯にわたり、彼は妻に手紙を書き続けます。手紙を小さく小さくたたみ、妻の棺の小さな鍵穴から、それを入れ続けました。

老人になったエッガーは、人里離れた小屋に住み、静かに孤独のままの生活を続けます。倹約の生活に満足し、日々を大切に生きるだけでいいということを知っていました。

私の友だちでも、そんなふうに考えて、人生の再スタートを楽しんでいる者が幾人かいます。私も細々と「おうちカフェ」を営んでいますが、似たようなものだと思います。

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おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

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