果てにあるかなしみ

何か大きな感情に包まれたとき、思い出す短い詩があります。堀口大学(1892年~1981年)の「彼等」です。「難しい詩だなあ」と思う反面、「そこがいいなあ」とも思います。

彼等(かれら) (作 堀口大学)

『彼等よく知る、 よろこびに 果(はて)あることのかなしさを。

彼等は知らず、 かなしみに 果(はて)あることのかなしさを。』

とても短い詩なのに、深い含蓄があります。平易に解釈すると、こんな感じだと思います。

(前半) 全てのよろこびは過ぎ去ってしまう。そしてかなしみがやがてやってくる。そんなことはみんな知っている。

(後半) かなしみは心の鬱積であり、ある面、人の本質だ。それも時が経てば消え去り、空虚や無力感だけが残る。それは、より大きなかなしみの到来だ。それを知る人が、どれ程いようか。

う~ん、もっと言葉を尽くして、語りたくなる詩です。でもそれは蛇足というものですね。このへんで今日は終わりです。今日の切り絵は、「詩人の筆」です。

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