イワンのように
株価、消費者物価、相互関税…、新聞ではお金のことが連日大きく取り上げられています。そんな記事を読むにつけ、私はロシアの文豪トルストイ(1828年~1910年)が書いた童話『イワンのばか(1885年)』を思い出します。こんなお話です。
昔、ある国に、軍人のセミョーン、太ったタラース、ばかのイワンの3兄弟が住んでいた。
セミョーンは王様に仕え、タラースは商人となり、家を出ていたが、ばかなイワンは家に残り、懸命に貧しい親を養っていた。ばかのイワンは、お金に困って家へと戻った二人の兄弟に、財産を惜しまずに分けてあげるような人だった。
そこへ、悪魔たちが、イワンたち三人の兄弟を騙そうと近寄ってきた。悪魔は、セミョーンを戦争で惨敗させた。タラースを一文なしにした。そしてイワンにも災いをもたらそうとした。しかし、イワンは、ばかなので、何をされても気にせずに、そのことで、悪魔たちをやっつけてしまった。
悪魔たちは、お詫びとして、超能力をイワンに授けた。その力を使って、3兄弟はそれぞれが国を治める国王になった。
時が経ち、悪魔たちは復讐を誓い、再度、この3兄弟が治める国に罠を仕掛けた。その策略が原因で、セミョーンの国は戦争で惨敗し、タラースの国は、財政が破綻した。
しかし、イワンの国の国民たちは、イワンと同じくばかで、純粋な働き者たちだったので、悪魔の罠には引っ掛からなかった。物を奪い取ろうとすれば、快く譲り、金貨をばら撒いても、金貨に興味を示さなかった。悪魔は「手で働くよりも、頭を使って働けば楽をして儲けられる」と演説するが、イワンの国民は誰も真剣に話を聞かない。数日間、演説をしていた悪魔だったが、ついには疲れ果て、地面の裂け目へと落ちていった。
その後、イワンの国は繁栄し、イワンは2人の兄を含め、助けを求めてやってきた人々を快く受け入れた。ただひとつ、この国には約束事があって、それは「手にまめができるような働き者は、食事の席につかせてもらえるが、まめのない者は、人の残り物を食べなければならない」というものだった。
このお話しのなかで、ひとりの兄は戦争が好きで、もうひとりの兄はお金が好きです。そして何度も罠に引っ掛かりました。そして、ばかのイワンは「ばか」と言われるほど、欲がなく働き者だったので、悪魔を降伏させることができました。
幼い頃、死んだ母から「楽をしてお金は手に入らない」とか「欲しいものは、人に頼ったりせずに、自分で働いて手に入れろ」と何度も言われていたことを思い出します。
今日の切り絵は、「イワンと悪魔」です。
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