名前

ブログ(インスタ)を読んでくださっている方のなかには、私は、花の名前に詳しいのだろうと思っていらっしゃる方もいるかと思います。いやいや全然詳しくありません。いちいち調べてから書いています。

昔、教員をしていたとき、「名もなき花」と言ったら、「そんな植物はない」と生物の先生に窘められました。それ以来、発言に注意しました。似たような理由で、地学の先生の前では、「星屑」と言わないようにしました。「星に屑はない」と言われるかもしれないからです。

そう、全てのものには名前があります。名前を覚えることは、それらに敬意を払うことなのでしょう。

でもね、へそ曲がりの私は、「でもね」と思ってしまうことがあります。

花や星空を見て、「キレイだなあ」と思うとき、必ず名前を知っておく必要はあるでしょうか。電車や駅にも名前があります。昆虫や魚や雲の形にも名前があります。「全て覚えるのは無理だし、必要があるのかなあ」と思います。雲の形の名前を覚えるのは、天気を予測する農業従事者には必要でしょう。魚の名前を覚えるは、漁業を営む人には必要でしょう。

名前は、必要な人が、必要なだけ覚えればいいと思います。その存在を、感覚として受け入れるだけなら、名前を覚える必要はありません。そして、全てものを名付けようとするのは、人間の傲慢なのではないかとすら思ってしまいます。「いやいや名乗るほどの者ではありません」と考えている、奥ゆかしい花もあるかもしれません。というか、名前にこだわるのは、人間だけです。

今日の切り絵は、「名もなき花」です。

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