『敦』を巡って
私の名前は「敦之」といいます。小学生の頃、「どういう願いが込められて、あなたの名前が付けられたか、家の人に聞いてきてください」という宿題がでました。
早速、母に聞きました。答えは「知らない。お父さんが、おばさん(父の姉)に頼んで、付けてもらったものだから」というものでした。「自分で産んだのに…」という母の無念さを感じました。「そりゃそうだ」と思いました。
今度は父に聞きました。「中国の地名“敦煌”からとったらしい」とのことでした。小学生の私には意味不明でした。「どうでもいいけど、親に付けてもらいたかった」と思いました。
断っておきますが、私は、父や叔母を恨んでいるわけではありません。彼らは「よかれ」と思ってやったのでしょう。ただ、母が「残念だ」と思ったことが、残念です。
さて、井上靖(1907年~1991年)の小説に『敦煌』(1959年)というのがあります。叔母はそれを読んでいたのではないか、歴史小説が好きだったので、『敦煌』から“敦”の一文字をとったのではないかと思っています。確かに『敦煌』はシルクロードの要所です。西と東の文化を結ぶ大切な拠点でした。しかし、それゆえ、歴史に翻弄されることも多かった。自分の名前ですが、「一文字をとる地名としては、微妙だな」と思います。
『敦』の字を使った、歴史上の人物や文化人では、悲劇の武将の平敦盛(1169年~1184年)や小説「山月記」の中島敦(1909年~1942年)が思い浮かびますが、残念ながら双方とも短命です。
う~ん、命名は難しい。だから、特別な理由がなければ、両親が行ったほうがいいと思います。
今日の切り絵は、西田敏行さん(1947年~2024年)です。小説『敦煌』は1988年に映画化され、西田さんが主人公を演じ、その年の日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞されました。
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