映画『平場(ひらば)の月』を観て

(あらすじ) 主人公の青砥健将(あおとけんしょう:堺雅人)は、妻と離婚し、地元に戻って印刷会社に再就職し、慎ましく平穏に日々を過ごしている。そして、その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどうようこ:井川遥)は、夫と死別し、今はパートで細々と生活をしている。

お互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ50歳代の二人は、「互いも生存確認のために連絡を取り合おう」と意気投合し、中学生以来、離れていた時を埋めていく。

ある日のこと。須藤はアパートの部屋から、月を眺めていた。

「お前、あのとき何考えてたの?」。青砥は尋ねた。

「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」。と須藤は答えた。

再び、自然に惹かれ合うようになった二人。やがて未来のことも話すようになるのだが…。

(感想など[結末に触れています。ご注意を!]) 

中学時代の初恋の二人は再会するが、須藤の癌が再発し、死が二人を分かつまでの数カ月の物語です。

『あのとき、夢みたいなことを考えていた』の言葉は、“癌が再発する前”に須藤が考えていたことです。二人の未来を夢見ていたのでしょう。そして『あのとき、何を考えていた?』と青砥に聞かれたのは、“癌が再発した後”のことです。死の絶望の中で聞かれました。切ないタイミングです。

映画のなかで、二人の中学時代と現代が、入れ替わりに描かれます。彼らにとって、恵まれた中学時代ではなかったかもしれないけど、希望と未来をたくさん持っていました。そう、『夢みたいなこと』を考えていたのでしょう。

そして時が過ぎ、二人とも、職も転々とし、離婚も経験し、褒められるような生き方ばかりしてきたわけではないことも自覚しています。50歳代になり、使い残した時間も可能性も軽くなり、絶望のなかで慎ましく生きています。「この気持ち、本当によくわかるなあ」と思いました。

でも彼らは、人生の後半に『自分に丁度良い人』を見つけられたのだから、良かったと思いました。

最後に細かいことを触れます。映画の中で、薬師丸ひろ子さんの1984年のヒット曲「メインテーマ」は幾度か流れます。このとき、青砥と須藤は中学3年だったのですから、今は56歳以上のはずです。でも50歳として描かれていました。ズレがありますが、それゆえ「大人のラブストーリー」として、幅広い世代の人が「自分のこと」のように、作品を楽しむことができます。

#平場の月#堺雅人#井川遥#朝倉かすみ#映画#人生#中年#ラブストーリー#薬師丸ひろ子#メインテーマ#おうちカフェさんちゃん#おうちカフェ#小さいカフェ#柏市

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

0コメント

  • 1000 / 1000