庭の藤の花

今日の写真は庭に咲いた藤の花です。

ブログに載せようと写真を撮っていたら、森鴎外の、「藤棚」という短編を思い出しました。

高校生のときの夏休みの宿題。読書感想文を提出しなくてはいけないのに、何も読んでいなくて、「これならすぐ読み終えるな」と目をとおしました。さてあらすじです。

明治時代末期。子爵の子、秀麿が、西洋形式の音楽会に出かけた。途中で「世間」とか「雷同」について考えていた。さてその日の宴の様子。当初、藤棚が印象的な庭のある豪邸での音楽会は賑々しかった。しかし「貴い方々(皇族)」が到着することで、上流階級ぞろいの客たちが粛然となった。その様子を秀麿が見て、「色がわりの紙(子爵たち)を重ねて、文鎮(皇族)が押さえているようだ」と思った。進行曲や激越な曲を聴きながら、秀麿は秩序の重みについて思いを馳せた。

ホントにすぐに読み終えました。ラッキーでした。でも不幸なことに「とてもつまらない」と思いました。森鴎外の秩序・自由観が示されていることはわかりました。人の手が入った見事な藤棚が、秩序と道徳の象徴なのだろうと思いました。そして皇族の重みで、自由や自然になびきがちな人々は押さえられていて、そしてそれは、秀麿にとっては好ましいことであるということもわかりました。「秩序を 無用の抑圧だとして、無制限の自由で人生の諧調が 成り立つと思つてゐる人達は、人間の欲望の力を侮つてゐるのではあるまいか」という文章がありました。

高校生のとき、何の感想もないのに、絞り出すように書いた私の感想文は以下のとおりです。『世の中には秩序が必要だと思います。しかし「貴い方々」の重みで出来ている秩序については、あまり期待しないほうがよいと思います』。あれから40年以上経ちますが、感想は同じようなものですね。

ウチに咲く藤の花は、質素で全然立派ではなくて、ウチに丁度いいと思います。

おうちカフェ さんちゃん

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