落語の扇子
暑い日が続きます。日本において昔から、暑い日に顔を扇(あお)ぐのは扇子でした。今はハンディファンを使う人も多いですが、扇子のほうが風流だと思います。
私は落語を観る(聴く)のが好きですが、その理由の一つは、演者の小道具としての扇子の使い方の巧みさを観ることにあります。今日はそのことについて書きます。
一番お馴染みなのは「煙管(きせる)」、昔のタバコですね。次は「箸(はし)」。一瞬にして、扇子は煙管や箸になります。「凄いなあ」といつも思います。私の一番のお気に入りは、扇子を大きく広げる「酒の盃(さかずき)」です。
まだまだあります。持ち方を変えれば「筆」。肩に担げば「天秤棒」や「駕籠(かご)屋の道具」。年寄りが突く「杖」。武具として「刀」、「槍」、「竹刀」、「木刀」。喧嘩の際は「出刃包丁」。大工さんの「金槌(かなづち)」、「錐(きり)」。少し開いて「算盤」。斜め下に見て「手紙」。「釣竿(つりざお)」。「ほうき」。Etc…。
落語家は扇子のことを「かぜ」というそうです。風を起こす用具だからです。粋ですね。
今日の切り絵は扇子です。
ハンディファンも優れものですが、扇子のように伝統文化は感じませんね。
今日の切り絵は魔法の扇子です。
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