芹沢銈介の「天の字のれん」:展覧会『砂川七郎コレクション展』を観て③
今日の切り絵は、先日、展覧会『砂川七郎コレクション展』で観た、人間国宝の芹沢銈介さんが作った「天の字のれん」の模倣です。芹沢銈介さんの暖簾(のれん)の中には、文字のモチーフが多いです。そして、「天の字のれん」は創性の強い作品と言われています。
濃い色の生地の中にひるがえる一枚の布によって、「天」の字を表しています。布は、まるで地上から吹き上げられたかのようで、ねじれながら空中に投げ出されています。その瞬間をとらえたような表現が、見る人に不思議な印象を与えます。
私はこの暖簾を観て、こんな俳句を思い出しました。
「天高し 雲行くままに 我も行く(作者 高浜虚子)」
浮雲が風に飛ばされています。晴れてはいるが上空には強い風が吹いています。「雲行くままに我も行く」。堂々としていて、「天高し」と相まって清新な世界を作っています。
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