みかんの風景
冬の主役はみかんです。寒くなり、色彩がしだいに乏しくなっていく中で、鮮やかなみかん色が店頭に増えていくのを見ると、冬の到来を感じ、「年の瀬だなあ」と、なんとなくうきうきしてきます。
さて、みかんが木になる風景を見ると思い出す短歌があります。
『街をゆき 子供の傍を 通る時 蜜柑の香せり 冬がまた来る』
(作者 木下利玄(りげん)1886年~1925年)
すっかり肌寒い街を歩き、子どもたちのそばを通りかかったときに、子どものなかの誰かが食べたみかんの香りがふっと漂い、匂ってきたみかんの香りに、作者は冬の訪れを感じたのでしょう。子どもに対する優しい眼差しが印象的です。
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