映画を学ぶ② 外国映画編 「キネマ旬報ベスト・テン95回全史1924~2021」を読んで

昨日の続きです。今日は、今まで日本で公開された映画のなかで、一番評価が高かった外国映画について書こうと思います。「映画人が選ぶオールタイムベスト100」と「心に残る珠玉の10本 外国映画編(読者選出)」における第1位の作品。

『第三の男』です。キャロル・リード監督の最高傑作。原作はグレアム・グリーン。出演はジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ。1952年に公開された作品です。

第2次大戦終結直後のオーストリアのウィーン。アメリカ人ホリーは、友人ハリーに呼ばれてウィーンにやって来るが、ライムは前日、自動車事故で死んでいた。ハリーの葬儀でホリーは英軍の少佐からハリーは最悪の密売人だったと言われるが…。

モノトーンのコントラストを見事に活かしたシャープな陰影表現。数々の深いセリフで紡がれて行く人間描写の妙。絶妙のカメラワークと、心象的に彩るオーストリアの民族楽器チターのシンプルな調べが印象深いです。画面には言い知れぬ緊迫感があります。そしてエンディングの絵画的とも言える表現は、映画館で観たならば席を立つことを忘れてしまうような深い余韻に包まれる、フィルム・ノワールの金字塔です。恐ろしい悪「ハリー」と正義を貫く「ホリー」の対比が見事です。

観た人は「これは名優オーソン・ウェルズの映画だ」と感じますが、ハリー役のオーソン・ウェルズの出演時間はわずか10分程度。不思議な作品です。

今日の切り絵は『第三の男』(ハリー役 オーソン・ウェルズ)です。

おうちカフェ さんちゃん

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