ゴッホの糸杉

「おうちカフェさんちゃん」の店内を飾るのは、私の作った切り絵です。月替わりで10枚ずつ展示させてもらっています。

例外で一点だけ、数年前に購入したゴッホの「糸杉」のレプリカを置いています。好きな絵だからです。

というわけで、今日はゴッホの「糸杉」の話しです。

『なぜゴッホはヒマワリから糸杉に目を向けたのか?』

ゴッホが糸杉を主題にしたのは、亡くなる前年の1889年。精神を患い、療養院に入院した時期に当たります。発作の恐怖におびえながら「発見」したモチーフが糸杉でした。

弟に宛てた手紙には「いつも糸杉に心ひかれている」と記しました。線の美しさや緑の質に魅了され、「ヒマワリを扱ったように描いてみたい」と述べています。

ヒマワリは黄色とオレンジの明るく鮮やかな色調です。糸杉で探求したのは暗い緑の色調でした。色彩の力を追求するゴッホは、以前よりも、落ち着いた色彩の表現に興味を高めていったと言われています。

こんな説もあります。

南フランスの風は強い。人や草木、大地に立つすべてを激しく揺さぶります。その風は「ミストラル」と呼ばれます。天を突くように伸びた糸杉が、ミストラルになびき、雲が渦巻くように流れている。「ゴッホは実際に体感した風をも描いた」というものです。天を突くように伸びた糸杉が、人々の営みを見守るように大地に根を張っています。ゴッホはアルルで病にかかり、入院しました。大地に根を張り、人々に寄り添うような糸杉の形に、教会の尖塔に代わる祈りのかたちを見いだしたのかもしれません。

クネクネとした筆の動きを「狂気」の仕業とする説もあります。私はそうは思いません。むしろ変化と挑戦を試みる筆の跡には、冷静に独自の表現を実らせようと絵筆を握る画家の熱を帯びた姿が浮かび上がっています。私はこの絵を観ていると落ち着きを覚えます。

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

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