地球は丸いのか?

最近、科学に関する随筆を好んで読んでいます。もっとも私は科学に疎いので、難しいことはわかりません。ただ「昔に書かれた(素直な感じがする)文章は面白いなあ」と思っています。

今日、紹介するのは物理学者の中谷宇吉郎(なかやうきちろう、1900年~1962年)さんが、1950年に書いた随筆です。一部を抜粋、要約して紹介します。「果たして、気球は丸いのか?」というお話しです。

【地球の円い話 (著 中谷宇吉郎)】

『地球が円いということは、小学生でも知っている。もっとも地球が完全な球形だというのは間違いだ。地球の表面には山もあれば、海溝もある。凹凸だ。それに中学生や高校生ならば、地球は南北方向に縮んだ楕円形(だえんけい)になっていることを知っている者もいるだろう。理学部の大学生ならば、「地球の形は完全な楕円体でもなく、擬似楕円体だ」と言うだろう。更に地球物理学者ならば、地球の形は、それらのいずれでもなく、「キツネの色がキツネ色であるように、地球の形は地球形だ」というだろう。

こうなると話に切りがない。結局、地球の形はどんなものかは素人には分からなくなってしまう。

そして、一般の人たちにとって、一番正解に近いのは、結局小学生の答えである。「地球は円い球である」と思うのが、一番本当なのである。

コンパスで丸い丸を描いてみよう。それが地球の形である。描いた円には線がある。線の幅に注目してみよう。最も高いエベレスト山脈も、最も深い海溝も、線の幅のなかに含まれてしまう。地球は南北に22㎞縮んだ楕円であるが、それも線の幅のなかに含まれてしまう。

こう考えれば、地球の形を図に描くには、結局コンパスで丸い円を描くのが一番合理的だ。即ち小学生の答え。ごまかされたように思えるかもしれないが、事実はそういうことだ』。

「面白い文章だなあ」と思いました。そして、地球は丸くて安心しました。

もう一つ、この文章を読んで思ったことがあります。「地球は丸いのですか?」という問いに、何と答えればよいのでしょう。凸凹があるから、厳密な丸ではないのは事実。コンパスで丸を描くのも正解。

両方とも正解なのか。両方とも不正解なのか。それとも、どちらか一方のみが正解なのか。

私は、人間の生活のなかでは、「両方とも正解だよ」という幅をとったほうが良いと思います。「片方を絶対に認めない」という態度は対立を生みます。「両方とも不正解」というなら、完璧な正解を示す必要があります。「丸い」というと「丸くない」と返し、「丸くない」というと「丸い」と返す人と話すのは疲れます。曖昧さを認めるのは大切です。

今日の切り絵は、丸い大地。包装紙を丸く切っただけです。手抜きでごめんなさい(一昨日、愛犬のきゅうちゃんに最近作った切り絵7枚を破かれたばかりなので…)。

おうちカフェ さんちゃん

こんにちは!「おうちカフェさんちゃん」です。皆様が気楽でのんびり過ごしていただけるお店です。季節の移ろいを丸窓から眺めながら一息つきに来てくださいね。

0コメント

  • 1000 / 1000