ロビンソン・クルーソーについて
私だけではないと思うのですが、「ロビンソン漂流記」と「ガリバー旅行記」をごっちゃにして、一定期間、認識していた人は多いと思います。中学生の頃、「ロビンソン・クルーソーはいつ巨人になるのだろう」と本を読んでいて、普通の人間の大きさのまま、物語が終わったときは、「あれっ?」と思いました。「巨人はガリバーだった!」とはっきりわかったのは、大学の英文科に入学してからでした。
今日は、イギリスの小説家デフォー(1660年~1731年)の小説『ロビンソン・クルーソー』(1719年)について書こうと思います。
(あらすじ)
商人の家庭に生まれたロビンソン・クルーソーは、父の期待に反し、冒険心に満ちた人生を求めて、船乗りとして航海に参加した。ロンドンを出向。アフリカのギニアでは、商人として一儲けした。海賊船に襲われて捕虜になり、脱出して助けられた船に乗ってブラジルに行った。そこでは農園を所有し、また一財産を作った。再び航海に出たが、彼の乗っていた船は嵐に遭遇し、彼は絶海の孤島に流れ着いた。
孤島に取り残されたロビンソンは当初、絶望的な状況に陥った。しかし次第に自らの知恵と工夫を駆使して生活を築くことを決意する。食料はみずから確保し、自らの手で住居を建て、野生動物と戦いながら一人で生き延びていく。
ある時、無人島の近隣に住む島の住民が、捕虜を捕えていることを知った。彼は人道的な心から、捕虜の中にいた一人を救出する。その捕虜こそ、後にロビンソンの忠実な下僕かつ友人となるフライデーだった。フライデーの登場により、ロビンソンの孤独な生活に変化が生じ、互いに助け合いながら生きていく。孤島での生活は28年にもわたった。
(この小説から学んだこと)
ロビンソン・クルーソーは「悪いことがあっても、良い面も見つけよう!」という思考の持ち主でした。貸借対照表作成のようです。例えば、こんな感じです。
○「無人島でさびしく人生を終えるのかなあ」⇒「無人島に流れ着いたが、命があるだけでも感謝するべきではないか」
○「私だけが全世界から切り離され、惨めに暮らしている」⇒「私を救いだした神は、現在の境遇からも救い出すことができる。」
○「話しかける人、なぐさめてくれる人もいない」⇒「だけど奇跡的にも船は海岸近くにある。おかげで、生きていくのに必要なものはある。また必要なものを手に入れるための手段(道具)もある」
ロビンソンは、現在おかれている境遇について、惨めな身の上を嘆くことから、心を解放するために、理性の力を発揮します。
厳しい状況でも、前向きでいることの大切さを教えてくれる素晴らしい小説でした。
今日の切り絵は、ロビンソンが暮らしていた架空の孤島です。鳥と鹿が多かったようです。
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