お前は、何をしに来たのだ

この時期、朝、散歩をしていて風に吹かれていると、中原中也(1907年~1937年)の『帰郷』という詩を思い出すときがあります。その一部を紹介します。

『(前略) 山では枯木も息を吐く あゝ今日は好い天気だ 路傍(ばた)の草影が あどけない愁(かなし)みをする (中略) あゝ おまへはなにをして来たのだと…… 吹き来る風が私に云ふ』

この詩の核心は「あゝ おまへはなにをして来たのだと 吹き来る風が私に云ふ」の部分でしょう。

懐郷の詩のようですが、懐かしさと同時に、痛烈な自己省察や孤独感が流れています。「都会で自分の道を模索していたけど、疲れ、何の成果もないまま故郷に戻ってきた」。そんな心情が読み取れます。

「吹き来る風」は、“故郷の声”かもしれません。“詩人そのもの”の声かもしれません。詩人は故郷に立ち、そこで都会での放浪と挫折、詩人としての未完成さ、自分の存在の意味への疑念を感じています。帰郷したことで、自己と対峙したのでしょう。

「個人が孤独に立ち尽くす姿」が鮮やかに浮かび上がらせる、素晴らしい詩です。

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