短編小説「メランコリィの妙薬」(著 レイ・ブラッドベリ(1920年~2012年))について
何となく鬱々とした気分のときに、思い出す小説について紹介します。こんなあらすじです。
『18世紀のロンドン。カミリアという少女が、謎の病により次第に衰弱していく。医師や家族はあらゆる治療を試みたが効果はない。医療は行き詰まった。兄は、カミリアをベッドごと屋外に運び、通行人に治療の助言を募るという奇抜な案を思いつく。多くの人が様々な診断や治療法を提案した。そして夕方、ごみ収集の青年が現れた。彼は「彼女には“愛”が欠けている」と診断し、しばらく外にいるようと指示をした。一旦、彼は消えていくが、真夜中に再び戻ってきてカミリアを励まし、優しく微笑みかけた。翌朝、カミリアは見違えるほど回復しており、元気に家族とともに踊りだした』。
作者のブラッドベリは、笑顔・愛・絆こそが「本当の妙薬」であることを示唆しています。
私がこの短編で好きな文章は、以下の部分です。
『ごみ収集の青年は「君の病名は“カミリア”だよ」と告げた。少女は、「病名が自分の名前である」と聞き、驚いた。「それでは、私自身が病気の原因なの?」と少女は尋ねた』。
そう、私たちは、精神的に落ち込んだり、不調を感じるとき、「ウツだ」とか「睡眠障害だ」と、つい決めつけてしまいます。それは正しいかもしれない。でも、なにかしっくりきません。状況は様々で、個人の心の在り方は様々だからです。人は誰もが、「自分は厄介な奴だ」と知っています。だから、心が弱っているとき、「病名は(自分の名前)だ」と自分で診断するのです。自分とは一生付き合っていくしかないし、そのほうが、落ち込んでいる状況に親しめるような感じがします。今日の切り絵は、心の形です。
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